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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
を象徴するものとさえなったのです。
そういうわけで、ヴィユウ・コロンビエの舞台装置は、概ね、コポオの精神を体したジューヴェの工夫になるものが多く、やはり一座の女優ビング嬢の衣裳考案と並んで、常に経済的にして且つ芸術的な効果を挙げているようでした。
コポオは僕のためにわざわざバッケという俳優を相談相手として附けてくれましたが、このバッケは、附属演劇学校の主事をしていて、非常に親しみ易い人物でした。マルタン・デュガアルの「ルリュ爺さんの遺言」で主役の爺さんをやった人です。ところが、ルイ・ジューヴェと来ては、面構えからして一と癖も二た癖もありそうなところへもって来て、コポオの言うことでさえ、なかなかハイといって聴かない風があるのをそばでみていて、僕などうっかり口も利けないような、ある親しみにくさを感じさせました。
しかし、しばらく附き合ってみると、案外見かけほど無愛想ではなく、ただ、その複雑きわまる性格のために、自分自身でそれを処理するのに困っているのだということがわかりました。或は、見方をかえれば、普通の単純な人間の単純な表現では、どうしても自分を表わせないことを知り、ある程度、勝手にしろ、というような物の言い方や表情ができてしまっているのです。