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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
原文と翻訳とをいちいち対照して説明はできないけれども、原作の韻文は定石どおりの十二音綴のアレクサンドランで、この定型詩のリズムはそのまま日本語に伝えるわけにいかない。そこで、翻訳者は、芝居のセリフとしてゆるされる範囲の緩急抑揚を、その豊富な語彙をもって自由に創りあげ、われわれの耳に極めて快く響く一種の名調子を、至るところに鏤めるという工夫をこらしています。
結局、翻訳として、どうしてもままにならぬのは、ロスタン好みの警抜斬新な脚韻のふみ方だと思いますが、これに代る面白味として、翻訳者は、巧みに、近代感覚の漢文調をもって来ています。「モリエールは天才にして、クリスチアンは美男なりき、と」の如きがその例です。
かくして、この「シラノ」という芝居は、君たちが考え、或は、受けとる以上に、われわれの現在の仕事に、新しい一つの方向を指し示すものとなり、一般観衆にとっては、まさに、無意識に求めていた芝居の、ある種の大きな魅力を与えられたことになるのです。
ところで、その新しい方向とはなにか? ある種の大きな魅力とはなんであるか? という問いには、僕は、あっさりこう答えます。