轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いわゆるしぜんのびとしぜんのあい

いわゆる自然の美と自然の愛

丘 浅次郎

「時代思潮」1905(明治38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,029 字 · 16 页

青空文庫

例えばある種類の蠅は卵を腐肉の上に産み付けるが、これは孵化した幼虫が直ちに十分の食物を得るためで、種属維持にとってははなはだ必要な本能である。しかるに天南星科の植物には腐肉の如き臭気を発する花の咲くものがあるが、蠅がそこへ来て往々卵を産み付ける。また草の間を走り歩く蜘蛛の類は卵の塊を糸で包みあたかも繭のごとき形に造り、中から幼児が孵化して出るまではつねにこれを携え保護しているが、これは幼児の安全のためにすこぶる有益な本能である。しかしもし人が試みにその繭を奪い取り、その代りに紙片を丸めて投げ与えれば直ちにこれを掴まえて繭であるかのごとくに大切に保護し、はなはだしきに至っては鉛の玉を与えてもやはりこれを掴まえ、保護するつもりで一生懸命に引摺り歩いている。かくのごとく本能なるものはしばしば誤った方向に向うても盲目的に働き、そのため動物をして往々目的に適わぬ所業をなさしめるものであるが、人類の有する利他心もやはりそのとおりで、生存競争の単位なる一団体の範囲内で働いている間は生存上はなはだ有効なものであるが、宇宙万物を博く愛するまでにその範囲を拡げると、あたかも蜘蛛が鉛の玉を大切に保護しているのと同様な全く目的に適わぬ所業をするようになってしまう。