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おしの

おしの

芥川 竜之介

昏暗的南蛮寺里,神父正祈祷,突然闯入一位面色苍白的武家女房。她带着什么秘密而来?这氛围紧张又神秘。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,139 字 · 9 页

青空文庫

ここは南蛮寺の堂内である。ふだんならばまだ硝子画の窓に日の光の当っている時分であろう。が、今日は梅雨曇りだけに、日の暮の暗さと変りはない。その中にただゴティック風の柱がぼんやり木の肌を光らせながら、高だかとレクトリウムを守っている。それからずっと堂の奥に常燈明の油火が一つ、龕の中に佇んだ聖者の像を照らしている。参詣人はもう一人もいない。

そう云う薄暗い堂内に紅毛人の神父が一人、祈祷の頭を垂れている。年は四十五六であろう。額の狭い、顴骨の突き出た、頬鬚の深い男である。床の上に引きずった着物は「あびと」と称える僧衣らしい。そう云えば「こんたつ」と称える念珠も手頸を一巻き巻いた後、かすかに青珠を垂らしている。

堂内は勿論ひっそりしている。神父はいつまでも身動きをしない。

そこへ日本人の女が一人、静かに堂内へはいって来た。紋を染めた古帷子に何か黒い帯をしめた、武家の女房らしい女である。これはまだ三十代であろう。が、ちょいと見たところは年よりはずっとふけて見える。第一妙に顔色が悪い。目のまわりも黒い暈をとっている。しかし大体の目鼻だちは美しいと言っても差支えない。