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おじいさんのいえ

おじいさんの家

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,150 字 · 11 页

青空文庫

ちょうど日当たりのいい縁側に、おばあさんがすわって、下を向いて、ぷうぷうと糸車をまわして糸を紡いでいました。二人は、その音を聞くと、たいへんに遠い田舎へでもいっているような気がしたのであります。おばあさんは耳がすこし遠いようでありました。で、二人の入ってきたのをすこしも知りませんでした。

「ここがおじいさんの家だろうか?」と、正雄は姉さんに向かっていいました。

「おばあさんにたずねてみましょう。」と、姉さんはいって、おばあさんのそばへゆきました。おばあさんははじめて、人のきたのに気がついたようすでありました。姉さんは、おじいさんの姓と名とをいって、

「このお家でございますか。」と、おばあさんに聞きますと、おばあさんは、糸車をまわす手をやめて、つくづくと姉さんと正雄の顔をながめながら、

「おまえさんたちは、どこからおいでになりました。私は、ちっとも見覚えがないが。」と、おばあさんは答えました。

そこで、二人は、先日おじいさんが犬を連れて帰ったことを、おはあさんによくわかるように子細に語りますと、おばあさんは、やはり、ふに落ちぬような顔つきをして、

「多分、それは家がちがいますよ、そんなはずがないから。