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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
「新潮 第五十巻七号」新潮社、1953(昭和28)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,232 字 · 42 页
おじさんの病室には四つ寝台が置いてあって、みんな塞っていたが、おじさんのほかは二、三歳の小児ばかりで、それぞれ母親らしい人が附添っていた。おじさんの病気は大腸カタルであったが、医者は年寄のことだし、万一ということがあるから、身寄の人に来てもらった方がいいと云った。身寄はない人ですと私は云った。おじさんはだいぶ弱っていたが、私には大丈夫だという感じがした。看護婦になにからなにまで、下のものの世話までしてもらっているとおじさんは気の毒そうに云った。その後十日ばかりして行ったときには、おじさんはもうかなり元気になっていた。
「きのう看護婦が風呂に入れてくれたよ。さっぱりしたよ。」とおじさんは嬉しそうに云った。「情けないもんだね。足腰が立たないんだよ。」
「それは体に力がないからだよ。物が食べられるようになれば、力が出てくるから歩けるようになるよ。」
「看護婦がおれを負って風呂へ連れていってくれるんだよ。まるで娘のように面倒を見てくれるよ。」
それからおじさんはいかにもおじさんらしいことを云った。
「ねえ、きみ、とても腹がへってかなわないんだよ。毎日お粥ばかりなんだ。