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おばあさんとツェッペリン
おばあさんとツェッペリン
小川 未明
「童話文学」1930(昭和5)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,480 字 · 7 页
まあ、私たちは、そんな時分まで生きていないからいいが、だれでも、分際を知らないほど、怖ろしいことはない。」
「もし、そんな時代になりましたら、どんなでしょうか?」
「さあ、そんなことは考えつかないが、人間は、道徳などというものをまったく忘れて、強いもの勝ちとなり、国と国の約束などというものはなくなってしまうだろう……。私は、そんな時代を見たいとは思わないよ。」
こう、おじいさんはいわれた。
おばあさんは、おじいさんのいわれたことは、みんな正しいと信じていました。そして、なるほど、それにちがいないと感じたのです。
平常から、達者だったおじいさんは、まだ、そんなに年寄りでもなかったのに、とつぜん、中風にかかって死にました。日ごろ、おじいさんの亡くなられるときは、やがて自分も死ぬときだと思っていましたが、おばあさんは、そのときから、すでに、十年あまりも生きながらえてきました。
息子や、孫たちは、おばあさんに対して、しんせつでありました。
「おばあさん、飛行機がとんでいますよ。ここへ出て、ごらんなさい。」と、孫たちは、おばあさんにいいました。
「そうかい、飛行機も、もう、たびたび見たから、あまり見たくもない。