轻松读懂日语经典作品
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おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1949(昭和24)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,479 字 · 45 页
「――だんだん不安になるばかりなんです、節子さん、私たちは本当に結婚することができるでしょうか」
節子は、掛け夜具の中から云った。
「――そんな心配はなさらないで、……わたくしきっと丈夫になります、でも、こんなことをなすってはいけませんわ」
「――いけませんでした、もう決してしません、あなたが戸田へ来て下さるまでは」
英之助はこう云って紙の音をさせていたが、つと夜具の下へなにかを押し入れた。
「これだけまた預っておいて下さい。急ぎますからこれで失礼します」
また金だと思った。話して断わらなければならないと思ったが、どうしても顔を出すことができなかった。――英之助はもういちど挨拶をして立ちかけ、ふと思いだしたように、
「ちょっとお耳にいれておきますが、尾花沢の総支配をしているのは相良です、私は彼の部下というわけなんです、いつか彼のことを聞いたのは、そういう理由があったんですよ」
節子はなぜともなく、どきっとした。
「しかし相良とはうまくやって来ました、これからもどうやらうまくゆきそうです、どうかお大事に、暇をみてまたお伺いします」
掛け夜具をかぶったまま挨拶をし、彼の足音が聞えなくなるまでそうしていた。