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おみな
おみな
「作品 第六巻第十二号」1935(昭和10)年12月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,437 字 · 11 页
その時、私がほんとは類の稀れな親孝行で誰にも負けない綺麗な愛をかくしていると泣きだした女が一人あったな。腹違いの姉だった。親孝行は当らないが、この人は、私の兄姉の中で私の悲しさのたった一人の理解者だったが。……
さて、こんな風な母と私だ。
ところが私の好きな女が、近頃になってふと気がつくと、みんな母に似てるじゃないか! 性格がそうだ。時々物腰まで似ていたりする。――これを私はなんと解いたらいいのだろう!
私は復讐なんかしているんじゃない。それに、母に似た恋人達は私をいじめはしなかった。私は彼女らに、その時代々々を救われていたのだ。所詮母という奴は妖怪だと、ここで私が思いあまって溜息を洩らしても、こいつは案外笑い話のつもりではないのさ。
涼しい風の良く吹き渡る友人の家の二階で、私は友達のおふくろと話をしている。この人は男の子供が三人あるが女の子供がないせいか、男の味方だ。
「女はお勝手の仕事をしてももう駄目です」とこの人は私に語るのだ。男の魂を高潔ならしむるために、選ばれた女はただ美しい装飾でなければならぬとこの人は言う。働く女は男の心を高潔にしないと言うのであった。