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きつねをおがんだひとたち
きつねをおがんだ人たち
小川 未明
「週刊家庭朝日」1950(昭和25)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,266 字 · 5 页
それにもかかわらず、国が戦争にやぶれてからは、景気の変動もはげしく、とうとう彼はどん底へつきおとされました。それでも、まだ神のご利益があるものと信じて、村の知人をたよって帰りましたが、もはやだれもふりむくものはなかったので、その日を食うに困り、星晴れのしたある夜、おいなりさまの境内で自殺をはかりました。幸か不幸か、なわをかけた枝が折れて、彼は地上へ落ち頭を打つとそのまま気が遠くなってしまいました。
しばらくすると、だれかきて側に立ったように感じました。うす明かりで見ると、白いひげのはえた、からだつきのがっちりした老人でした。かすかながらも、記憶があります。そうだ、用水池を造って、村を旱魃から救った、日ごろみんなの尊敬している人でした。老人はいいました。
「おまえは、子供の時分、なかなか正直な子供だったが、どうして、こんな人間になったのか、それにはわけがあろう。」
こう聞かれると、彼は、おいなりさまの、いろいろのご利益を説いて、自分もしあわせにしてもらいたいためだといいました。そして、こうなったのは、まだ信仰が足りないからでしょうと、答えました。
「ばか者め、たとえ神さまがいらしても、ひとのためを思わぬ欲深や、ひきょう者に、なんで味方をなさるものか。