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こがらし
こがらし
岩本 素白
――南駅余情――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,845 字 · 6 页
晩秋初冬の頃になると、毎日烈しい風の音が気味わるく、大通りからは遥かに遠い場所であるのに、ひどく火事を恐れる子供であった。そうして、そのいやなこがらしが吹く或る薄曇った寒い月に、私は近所の寺の裏手の墓地へ耶蘇教の葬式が来ることを知って、無気味に思った。
その寺というのは、元は近くの大きな寺の塔頭の一つであったのだろうが、それは或る大名の菩提所で、今は其の家の控邸になって居て、乳鋲のついた扉のある大きな開き門をはいると、境内はかなり広く、梅林や茶畑や草原などもあって、二三軒の貸家もあった。然し、住僧は居ないで、切り下げの老婦人が一人、寺の片隅に居るだけで、塗り骨のまいら戸のある玄関から庭に面した部屋々々まで、全部を或る役人に貸して居るので、そこの子供が私の友達であった。私も時々その辺を遊び廻ったが、墓地はその寺の裏手、山蔭の森も近く、淋しい所である。耶蘇教の人を葬るのだから、勿論寺の墓地ではないであろう。私達も平生其処へは余り行ったことがなかったのである。
子供達は、今日珍しく開かれて居る大門の外で待って居たが、そのうちこんなことを云い出した子供があった。