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このしょとう

この初冬

宮本 百合子

「中外商業新報」1939(昭和14)年12月2、3、5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,558 字 · 8 页

青空文庫

ダットサンぐらいは女でも自由に動かして然るべきものという心持の上に立てられた企画ではなくて、ダットサンに手が出したい階級の興味、目新らしさの要求へ、女がもって行って飾られたように見えた。そういう女のひとをのせたダットサンが街角で故障をおこして困っているところを、お手伝いしましょうか、とよって行って、動けるようになったら、ありがとう、であっさり別れず、それから細君を加えない一種の交際がはじまるというような現実もあるらしかった。そういう風に嬌態化された女の技術と生活とのありようはここでも佗しく表れているのであった。

イヤハート夫人の「最後の飛行」を読むと、或る年の誕生日のお祝いに彼女のお母さんが一台の中古の飛行機をくれたことから、彼女の婦人飛行家としての出発が始まったことが語られていて、そういう日常の感情をこしらえた条件としてアメリカにフォードが行きわたっているということの文化上の意義を、まざまざと感じたことがあった。

この間、或る人が岩手県の方へ旅行したら、その町ではバスの運転手が若い娘さんになっていたそうである。その話をきいて私は何かしら新鮮な感動を覚えた。