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さかずきのりんね
さかずきの輪廻
小川 未明
「婦人公論 9巻1号」1924(大正13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,603 字 · 21 页
」と、彼はそのときとは、まったく反対のことを考えました。
彼は、こうなっては、だれを憎むこともできなく、自らを憎みました。
彼は、また、「自分の祖父は、よほど、趣味の深い、目ききであった。」と思いました。そして、彼は、そう思うと、いままで感じなかった、なつかしさを、祖父に対して感ずるようになったのです。
世にも、その数の少ない利助の作を、祖父が手にいれて、それを愛したこと、そのさかずきは長い間、我が家の古びた仏壇のひきだしの中に入れてあったのを、自分が、むざむざ持ち出して捨てるように、この東京のつまらない古道具屋にやってしまったと考えると、彼はなんとなくすまないような、またとりかえしのつかないようなくやしさを感じたのです。そして、どうかして、それを探し出さなければならないと思いました。
孫は、さっそく、いつか自分の宿に呼んできた古道具屋へたずねてゆきました。そして、二、三か月前にやった、さかずきは、まだ店に置いてないかと、あたりに古道具がならべてあるのを見まわしてからききました。
「あれは、すぐ売れてしまいました。」と、耳の遠い、脊の曲がった男は、とがった顔つきをして答えました。