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ちょうとどとう

ちょうと怒濤

小川 未明

「中学生」1922(大正11)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,746 字 · 10 页

青空文庫

どんな強い風に飛ばされた木の葉も、一度は落ちるように、ちょうは冷たい土の上に落とされました。そして、気がついたときに、すさまじい音が、真っ暗な中から、起こってきこえていたのです。そこは、海辺でありました。

ちょうは、湿った砂の上にしがみついて、ふるえていました。夜が明けると、自分の美しかった羽は破れていて、そして、前には青い青い海が、うねり、うねっているのが見られたのです。日の光を浴びて、ちょうは、いくらか元気が出てきました。そして、どこかの辺りに、花が咲いてはいないかと、ひらひらと舞い上がったのでした。けれど、風が強くて、ややもすると傷ついた羽が、そのうえにも破れてしまいそうでした。やっと、砂の丘に黄色な花の咲いているのを見つけて、その花の上にとまりました。

黄色な花は、ちょうど星のように咲いていました。そして、風に吹かれて、頭を地につけていました。あまりみつばちもいなければ、また、ほかのちょうの姿も見えませんでした。花は黙っています。海の上では鳥が鳴いていました。なんとなく、悲壮な景色であったのです。

ちょうは、じっとして、終日、その花の上に止まっていました。