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てかてかあたまのはなし

てかてか頭の話

小川 未明

「童話」1920(大正9)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,183 字 · 5 页

青空文庫

」と、わんぱく坊やがいっています。

おじいさんは、「こいつめが。」といって、坊やを追いかけようとすると目がさめました。ちょうどそのとき、そこへ脊の高い若者が入ってきました。

「おいでなさい。」と、おじいさんは、目をこすりながら立ち上がりました。そして、曲がった脊をのして、いすに腰をかけて、鏡に向かっている若者の頭髪を刈ろうといたしました。

おじいさんは、眼鏡をかけて、はさみをチョキチョキと鳴らしながら、くしをもって、若者の頭髪にくし目を入れてみて驚きました。その頭髪は、ごみや砂で汚れて、もう幾年も手を入れたことのないような頭髪でありました。

「おまえさんは、どこからきなさった。」と、おじいさんは、若者に聞きました。

すると、若者は、日に焼けた、真っ黒な顔を向けて、おじいさんにいいました。

「俺かい、俺は、山ん中から出てきた。町なんかめったに出たことはねえだ。俺、この間、途中でたいへんにきれいな男の人を見た。その人の頭は、ぴかぴかと岩からわき出る清水のように光っていただ。俺、どうして、あんなに人間の頭ちゅうものが、ぴかぴか光るだかと、いろいろの人に聞いたら、中で、それは、鬢付け油というものを塗るからだと教わった。