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なつかしまれたひと
なつかしまれた人
小川 未明
「童話」1926(大正15)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,245 字 · 11 页
」と、いったのでありました。
みんなは、はじめておじいさんの心持ちがわかったような気がしました。子供たちに対しても、そうしたやさしい心をもつのであるから、自分たちに対しても、やはりこうしてやさしいのであろうと思いました。
「じゃ、おじいさんは、いつかまた国へ帰んなさるときがあるんですね。」
「それはあるにはあるが、そうすると、こうして仲よくしているみんなに別れなければならぬ。考えると、そのことがつらいのじゃ。」と、おじいさんは、長い間、苦辛をしてきた、日にやけて、しわの寄った顔をしゃくるようにして、小さな目をしばたたいたのです。破れた鳥打帽子の下から見える髪は、もう灰色になっていました。
この言葉をきくと、若いものたちも、ほっと歎息をつきました。
「俺は、自分の父親のように思っているのだが、おじいさんと別れるのはつらいな。」と、いったものがあります。
「ほんとうにそうだ。まあ、おじいさん、いつまでも俺たちといっしょにいてください。」と、いったものもありました。
こうして、勘太じいさんは、この会社に働いている若い人たちから、愛されていました。
おじいさんは、よく働きました。