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なまずとあざみのはなし
なまずとあざみの話
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年5月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,008 字 · 6 页
と、あざみの花は、ついに呼びかけました。
このとき、なまずは、起き直ったところでした。
「ゆうべ、人間にやられたのです。もうすこしで水の上へ引き上げられるところでしたが、やっと糸を切ってやりました。けれど、針がのどに残っていて苦しくてしようがありません。私は、もう長い間、この川に生きてきましたが、こんどばかりは死ななければなりません。」と、うらめしそうにいいました。
あざみは、よく、なまずを見ますと、なるほど、年をとっていました。小さな魚たちが、気味悪がっているおばさんは、このなまずであるかと、しみじみとながめたのでした。しかし、あざみは、いま、この苦しんでいるなまずにたいして、同情せずにはいられませんでした。
「ほんとうに、おいたわしいことでした。私は、この岸に咲いて、あなたのお苦しみなさるのを見るばかりで、どうすることもできません。」といいました。
なまずは、また白い腹を出して倒れたが、やっと力を出して起き上がった。
「私は、人間をうらめしく思います。この深い水底にすんでいる私たちが、どんな悪いことを人間にたいしてしたでしょうか?」
なまずは、そういったことさえやっとでした。