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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
山城の 瓜生の里に
我は 瓜作る 瓜作り
ナヨヤ ライシナヤ サイシナヤ
我は 瓜作る 瓜作り 瓜作り ハレ。
綾麻呂 文麻呂!……ほら、聞いてみろ! 衛門がお内儀さんと一緒に唄をうとうとる……。
空は紺碧に晴れ渡っている。どこかで山蝉が鳴きはじめた。
綾麻呂 夏だ!……どこかで山蝉が鳴き始めたではないか?……新しい季節がやって来たのだ。衛門も、お前も、……みんながまたこうしてそろった。……(しみじみとした感懐で)……ああ、これでお前のお母さんさえ生きていらっしゃったら、本当に申し分ないのだがな。
間――
文麻呂 お父さん。……僕は今日は何だか死んだお母様の顔までがはっきりと思い出せるような気持がします。……ねえ、お父さん。……お母さまはとても美しい方だったのでしょう?
綾麻呂 (独白のように)まるで天女のような女だった。
文麻呂は、何かはっとしたように父親の横顔を眺め入る。……山蝉の声。再び、衛門夫婦のうたう「瓜作りの唄」が続く。
――幕――