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ねずみとバケツのはなし
ねずみとバケツの話
小川 未明
「赤い鳥」1925(大正14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,785 字 · 8 页
そんなこととは知らないものですから、食べたらたいへんでした。」と、ねずみはいって、お礼を申しました。たとえ、りこうなねずみにせよ、それを悟るはずがないからでした。
「ねずみさん、そればかりではありません。毎夜、いま時分……ねこがやってきますから気をおつけなさい。」と、バケツは教えてくれました。ねずみは、この家の付近にすむことの危険をつくづくと感じました。そして、やはり、自分は、あの溝の淵に帰るほうがいいと思いました。ちょうど、雨は晴れて、空には、月が出ていました。
「バケツさん、どうぞご機嫌ようお暮らしなさい。」と、ねずみは別れを告げて、ふたたびさびしい町裏の方を指して出かけました。彼は、道すがら、昔の敵であったバケツが、いま年をとってやさしくなったのを寂しく感じました。