轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひとごろし
ひとごろし
山本 周五郎
「別冊文藝春秋」1964(昭和39)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,607 字 · 45 页
――街道のかなたには、旅装の男女が二人、いうまでもないだろうが、双子六兵衛とおようのあるいて来る姿が見えた。
「もうたくさんだ」と昂軒は呟いた、「もうこの辺が決着をつけるときだ」
彼は頬がこけ、不眠と神経緊張のために眼は充血し、唇は乾いて白くなっていた。
それに反し、街道をあるいて来る二人はみずみずしいほど精気にあふれていた。どういうことがあったのか、筆者のわたくしにはわからない。六兵衛もそうだが、おようのほうは特にうきうきしたようすで、絶えず六兵衛にすばやいながしめをくれたり、なにか云っては、やさしく肱に触ったり、そっとやわらかく突いたりした。――かれらはまるで、本来の使命を忘れたかのようにその台地の前を通りすぎようとした。
そこで昂軒は立ちあがり、おれはここにいるぞ、と呼びかけた。二人は仰天したようすで、娘のほうはすぐさま「ひとごろし」と叫びだした。
「やめろ、それはもうたくさんだ」と云いながら、昂軒は台地の端へ出て来た、「そこの双子なにがしとかいう男、きさまおれを上意討に来た男だと云ったな」
六兵衛は黙って頷いた。
「おれは初めから逃げも隠れもしないといってある」