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ふたりのおばさん

ふたりのおばさん

室生 犀星

「銀河 第三卷・第一号 一月号」新潮社、1948(昭和23)年1月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,817 字 · 10 页

青空文庫

二 本と板きれ

秋にならない前に三階の家が建って、それで、すっかりおじさんは安心してしまったのか、きゅうにすることがなくなったのであろう、リョウヘイが行くと、新聞を読むか、コタツにあたっているかのどちらかで、例によって何をいってもうんうんと返事をしていた。人のいうことを聞いているのか、聞いていないのか、よくわからないようなおじさんだった。雪がいよいよ深くなると、もうコタツからはなれないでいた。おばさんには子どもも親類もないらしい、そして冬は、ダイクさんは北国では仕事を休まねばならないほどの、大雪の日がつづくのである。

おばさんはいつ死んだのか知らない、知ったのは三年も四年も後であった。おじさんはべつのおばさんをもらってから、リョウヘイの家には出いりしなくなり、リョウヘイもべつのおばさんを見にゆく機会がなかった。さきのおばさんほどいい人ではないのであろう。

二 本と板きれ

リョウヘイの家のすぐ前に、一軒のサシモノ屋があった。タバコボンとか、ひきだしのある箱とか、茶ダナとかを作る家だった。そこのおばさんは箱をみがくとか、タバコボンにロウをつけてこするとか、カンナくずのそうじをするとか、そんな仕事をしておじさんの手つだいをしていた。