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ふたりのおばさん
ふたりのおばさん
室生 犀星
「銀河 第三卷・第一号 一月号」新潮社、1948(昭和23)年1月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,817 字 · 10 页
」
「親のひたいって変だな。」
「親のひたいのように大切なところだということですよ。」
「そう。」
「テツビンでもジュウノウでも、火にやけたものはおかないほうがいいね。」
それ以来、リョウヘイはよくわからなかったが、シキイの上にテツビンは置かないことにした。おばさんがほんとうのことをいったかどうかわからないが、シキイに家の神がいるということ、親のひたいみたいだということが、ながいあいだ忘れられなかった。
おばさんはどんな虫でも、すぐに殺すことがなかった。つまんで庭にすてていた。そして殺すなとはいわなかった。殺さんほうがいいといった。殺さないほうが気がらくだったから、これもおばさんのいうとおりに、アリでも、クモでも、たいていつまんですてた。
冬の雪がとけると、道路が悪くて歩けなかった。アシダというものをいなかでは、いまだにはいているので、雪のかたまりや水たまりでよくころぶのだった。ころぶとヒザのところに泥がくっついて、そのまま帰ると、リョウヘイは母にしかられるのがこわかった。リョウヘイはもらい子であったから、母にすかれなかったし、母はしかってばかりいた。着ものに泥をくっつけてかえれなかった。