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ふたりのおばさん

ふたりのおばさん

室生 犀星

「銀河 第三卷・第一号 一月号」新潮社、1948(昭和23)年1月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,817 字 · 10 页

青空文庫

」

おばさんとおじさんの間には、やはり、子どもというものがなかった。それだから、リョウヘイをかわいがっていたいわけではない、ただ、なんとなくリョウヘイが行きさえすれば、いやな顔も、また、特別に歓迎してくれたわけでもなかった。おじさんはたまに、ついでのある時にはワラのクツを作ってくれた。雪の道を歩くときには、ワラグツはあたたかくてぽかぽかしているからだった。

おじさんは年じゅう板きれをけずっていた。どんな小さい板きれでも、大切にしまっていて、家の中はテンジョウにも、タナにも、隅のほうにも、床の上にも、家の入り口まで板のタバや板きれが立てかけてあった。あんなにたくさんの板きれをためておいて、いったい、どうする気だろうとリョウヘイは考えていたが、おじさんは仕事さい中に小さい板きれがいるときがあると、小さい板きれを積んである中から、さがしだしていた。どんな板きれでもちゃんと覚えているのが、リョウヘイにはめずらしい気がした。ちょうど、リョウヘイが小さいよごれた本でも、本という名のついたものを大切にするようなものではないかと、おじさんの板きれのことをくらべて見ていた。