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ふるさとによするさんか
ふるさとに寄する讃歌
夢の総量は空気であった
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,184 字 · 13 页
心に浮ぶものは、すべて強調と強制のつくりものにみえた。私は偶然思い出していた。彼女に再び逢う機会はあるまい、と。それは、意味もなく、あまり唐突なほど、そして私が決して私自身に思い込ませることが出来ないほど、やるせない悲しみに私を襲うのであった。私は、かような遊戯に、この上もなく退屈していた。しばらくして、もはや無心に雲を見ていた。
姉も亦、姉自身の嘘を苦にやんでいた。姉は見舞客の嘘に悩んで、彼等の先手を打つように姉自身嘘ばかりむしろ騒がしく吐きちらした。それは白い蚊帳だった。電燈を消して、二人は夜半すぎるまで、出まかせに身の不幸を歎き合った。一人が真実に触れようとするとき、一人はあわただしく話題を変えた。同情し合うフリをした。嘘の感情に泪ながした。くたびれて、睡った。
朝、姉の起きぬうちに、床をぬけて海へ行った。
港に六千噸の貨物船がはいった。耳寄りなニュースに、港の隆盛を町の人々が噂した。私は裏町に、油くさい庖厨の香を嗅いだ。また裏町に、開け放された格子窓から、脂粉の匂に噎んでいた。湯垢の香に私はしみた。そして太陽を仰いだ。しきりに帰心の陰が揺れた。