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まほうやしき

まほうやしき

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1957(昭和32)年1月号~3月号

N4 · 入门 · 新字新假名 · 5,541 字 · 11 页

青空文庫

そのへやには、鉄ぼうのはまった小さなまどが一つあるきりで、そこから月の光がさしこんでいました。

ノロちゃんは、井上くんのかたに乗って、まどから外をのぞいてみました。

まどのすぐ外に高いへいがあって、そのむこうは原っぱです。

「あっ、いいことがある。バッジを使えばいいよ」

ノロちゃんはとびおりて、井上くんにささやきました。すると、井上くんもにっこりわらって、ポケットからしょうねんたんていだんのきしょうのB・Dバッジを一つとり出しました。

それから、上着のポケットから手ちょうを出して、紙を一まいちぎり、えんぴつでなにか書いて、B・Dバッジをその中につつんでまるめました。ノロちゃんは、それを受けとると、また井上くんのかたにのぼって、まるめた紙玉を、力まかせに、まどの外へほうるのでした。

バッジは、ほうるときの重しになったのです。

あくる朝のことです。ノロちゃんが、ふと目をさまして、ベッドの上を見ますと、そこには井上くんもルミちゃんもいなくなって、二ひきのライオンの子どもが、ながながとねそべっていました。ノロちゃんは、「ぎゃっ」とさけんで、ベッドからとびおりましたが、そのとき、自分のからだを見て、きぜつしそうになりました。