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みつばちのきたひ
みつばちのきた日
小川 未明
「福岡日日新聞」1923(大正12)年1月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,774 字 · 8 页
雪割草は、ぱっちりと目を開いてみると、びっくりしました。かつて、見たことも、また考えたこともない、温かな室の中であったからです。そして、自分のまわりには、美しいいろいろの花が、咲き乱れていたからであります。
雪割草は、小さな頭の中で、過去を考えずにはいられませんでした。この雪の降る、風の烈しい、岩蔭で咲いた日のことが、ぼんやりと浮かびました。それは、谷から捲き起こる風の叫びであったか、また、山を越えて、あちらの海からうめき起こる波の音であったかしれないが、たえず、すさまじい、魂を戦かせるような響きをきいて、花弁を震わせながら咲いていたのでした。
しかし、その日を不幸だとは考えなかった。春になると、羽のうす紅い、小さなちょうが、たずねてきてくれた。また、夜になると、清らかな星がじっと見守って、いろいろ不思議な話をしてくれたからであります。
「しかし、いったいここは、どこなんだろう。」と、雪割草は、あたりをながめて、独語をもらしました。
すると、すぐ、自分の頭の上に、くじゃくの羽を垂れたような、貴族的ならんが、だらりと舌を出したように、みごとな花をつけていましたが、その言葉をききつけると、