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みつばちのきたひ

みつばちのきた日

小川 未明

「福岡日日新聞」1923(大正12)年1月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,774 字 · 8 页

青空文庫

なに、体が悪いって、寒さがこたえたのですよ。南の方の私の生まれた島は、いまごろは暑い日がつづくのですから、無理はありません。しかし、ここにいると、のんきですよ。わたしの大きらいな風も当たらないし、人間が万事いいようにしてくれますからね。しかし、なにしろ高価なことをいいますから、ちょっとお客がわたしには手が出せないのです。それで、去年は、わたしは、ここに残りました。今年もどうだか。なかなか素人の手に渡って、つらいめをさせられるよりか、どれほどここのほうがいいかしれません。」と、らんは答えました。

「それは、そうだ。俺なども、去年傷をしなけりゃ、とっくにここにはいないのだ。今年は傷もなおったし、どこかへゆかなけりゃならないかもしれない。そうすりゃ、また、みんなと、こうして顔を合わすこともないのだ。」といったものがあります。雪割草は、その声のする方を振り向きますと、それは、サボテンでありました。

「あなたがたは、みんな熱い国の生まれでしょう。だからそうお思いなされるんですけれど、わたしなどは、元来が野育ちなのですから、やはり風に吹かれたり、おりおりは、雨にもさらされたほうが、しんみりといたしますわ。