轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めおとよろい

めおと鎧

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年1月号

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 12,130 字 · 24 页

青空文庫

あとから駈けつけたいちぶの人々は、そのままひっしと追っていったが、残りの人数は門前に集ってがやがやと罵りたてていた。「どうしたのだ」「孫兵衛が菊岡を斬ったんだ」「だって親族同志で、いったい理由はなんだ」「飛竜を孫兵衛が殺したんだ」事情を知っているとみえ、ひとりがあらましのことを話していた。「しかし逃げるとはみれんだな、日頃の孫兵衛にも似合わぬばかなことをするものだ」「けれど、菊岡の命ととりかえは惜しいよ」「さきに抜いたのは菊岡だった、孫兵衛は斬るつもりはなかったと思う、おれは見ていたんだ、証人もある」こういう問答は、かなりこわだかに交わされていたので、もし治部少輔のめつけが窺っていたとしても、これが孫兵衛の必至の機智だったとは気付かなかったにちがいない。

孫兵衛は、息をかぎりに走った。玉造のあたりで追手をまったくひきはなし、黒門口から平野川のほうへ脱出した。そのころ、治部少輔は加藤、福島らの五武将と不和のことがあって居城である近江のくに佐和山へ帰っていた。だから伏見城にいる家康のもとへゆくのに、おもての道をとっては石田のめつけをのがれることはできない、そこで孫兵衛は、奈良路を四条畷までゆき、河内のくにから淀へとはいった。