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わがつまのき

わが妻の記

伊丹 万作

「りべらる」1946(昭和21)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,719 字 · 8 页

青空文庫

ときに私が抗議を申し込んでみてもとうていむだである。

料理。結婚当初の半年くらいは、晩飯の食卓に料理が十品くらい並んでいた。ほかに何もすることがないので、私の働いている間中、晩飯のこしらえばかりやつていたのである。しかし、いつのまにか、だんだん品数が減つて、子供の世話に追われるころには「今日は沢庵だけよ」などということになつてしまつた。その子供も今は手が抜けて、妻はふたたび豪華な食卓を飾りたくてたまらないのであろうが、いかにせん、何も材料がなく、あつても買えなくなつてしまつた。

妻の料理の中で最もうまいのは、何といつても郷土風のちらし寿司である。季節は春に止めを刺すので、材料はたい、にんじん、たけのこ、ふき、さやえんどう、しいたけ、玉子焼、紅しようが、木の芽などである。

洋風のものではフランス料理を二つ三つ聞きかじつて知つている。ただし、おでんと天ぷらだけは亭主のほうが造詣が深い。

趣味

まず衣服であるが、全部和装ばかりで数もごくわずかしかない。洋装は何か妻の空気と合わないような気がする。当人も「私が洋服を着たらモルガンお雪みたいになるでしよう」