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わがくふうせるオジヤ

わが工夫せるオジヤ

坂口 安吾

「美しい暮しの手帖 第一一号」1951(昭和26)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,458 字 · 7 页

青空文庫

私はピッタリ催眠薬をやめたから、仕事のあとで眠るためには酒にたよらざるを得ない。必需品であるから、酒を快く胃におさめるために、他の食物を節しなければならない。なぜなら、私は酒を味覚的に好むのではなく、眠り薬として用いるのであり、それを受けいれる胃袋は、益々弱化しつつあるからである。

私は二年前から、肉食することは一年に何回もないのである。それまでは、特にチャンコ鍋(相撲とりの料理で、いろいろの作り方があるが、主として獣肉魚肉野菜の寄せ鍋のようなものである)を愛用していた。そのうちに、鍋の肉は食う気がしなくなり、人に中身を食べてもらって、あとの汁だけでオジヤをつくって、それだけを愛用するようになった。スキヤキにしても、肉は人に食ってもらって、ゴハンに汁だけかけて食う。肉の固形したものを自然に欲しくなくなったのである。魚肉もめったに食べない。稀にウナギを食う。一ヶ月に一度、※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)の丸焙りの足の一本だけ食う。又、稀に肉マンジュウを食う。この二年間、肉食といえば、それぐらいだ。ロチを一ヶ月に一度食うというのは、私の誕生日は十月二十日であるが、女房はそれを二度忘れていた。