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わがせいしんのしゅうい
わが精神の周囲
「群像 第四巻第一〇号」1949(昭和24)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,670 字 · 32 页
の主人公三雲博士)この人は産婦人科医で警察医だが、何の病気に拘らず、私の家の全員がお世話になるお医者さんなのである。それから、長畑さん(柿沼内科医局長。私とは年来の知友である)この御二人のお医者さんが見えていられたこと、これが第一の不思議である。偶然だとは思われない。
私に伊東行きをすゝめたのは南雲さんであった。南雲さんは伊東に親戚の旅館もあり、二人の坊ちゃんが間借りの避暑にきていた。この間借りをたゝんで帰るために伊東へ行くから、一しょに行かないか、しばらく転地して保養した方がよい、という南雲さんの考えだったようである。
長畑さんも私の家に一泊して、翌日一しょに伊東まで来てくれた。その翌日は大井広介の奥さんが乳癌で手術することになっていた。長畑さんと大井広介とは古くからの親しい友で、私が長畑さんを知るようになったのも、大井広介を通じてゞあった。
大井夫人の乳癌を診断したのも長畑さん。一刻も早く手術の手配をとりはからったのも長畑さん。その手術は翌日の朝九時半から外科の手術室で行われ、是が非でも立ち合う必要のある長畑さんが、この際どい瀬戸際に伊東くんだりへ出向いてくれたのは、やっぱり私の知らない理由があってのことであろう。