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わがせいしんのしゅうい

わが精神の周囲

坂口 安吾

「群像 第四巻第一〇号」1949(昭和24)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,670 字 · 32 页

青空文庫

つまり「にっぽん物語」というのは、この小説に主たる題名がないところから雑誌社が無断掲載に際して自ら作ったものであるが、それならばそれで押してくれゝば宜しいものを、気が咎めたのか、主たる題名を小さく、「スキヤキから一つの歴史がはじまる」という題を大きくつけた。

私が雑誌社へ渡した部分は、この小説の第一章の「その一」だけで、せめて雑誌社としては、第一章の題をもって主たる題名に代えたかったであろうが、これまた不都合なことに「一九二八―」という未定の題名が第一章につけられており、使いものにならなかったのである。そこで、仕方なしに、第一章中の「その一」をもってきて、主たる題名の如くに大きく扱った。それが「スキヤキから一つの歴史がはじまる」という妙なものなのである。第一章中の「その一」だけの題だから、こんな奇妙な題名もありうるが、さもなければ、こんな題をつけるバカがいる筈のものではない。この部分は、新潮の三、五、六、七月号に分載された。

私にとっては、題名は「にっぽん物語」でもよかったのである。それは雑誌社も承知しており、私は常々、よい題名がありさえすれば、なんとつけても宜しい、と云い云いしていたことであった。