轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わがちをおうひとびと

わが血を追ふ人々

坂口 安吾

「近代文学 第一巻第一号」1946(昭和21)年1月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,546 字 · 21 页

青空文庫

それは神父金鍔次兵衛の指図であり、絶望と破壊の遊戯は彼の姿の影であつた。逃亡潜伏に熟達した次兵衛はとにかく、信徒達の狂躁が捕吏に分らぬ筈はない。彼によつて修道服を受けた数人を始め七百名余りの信徒達が一網打尽となり、刑場に送られて焼き殺されてしまつたが、次兵衛のみは風であつた。彼は天草へ舞ひ戻り、鳥銃をぶらさげて冬山の雑木林をぶら/\歩いてゐたのである。

あの男は平和な人々を破壊と死滅へ追ひ立てる気だ、と渡辺小左衛門は悟つた。彼は天草最大の富豪であり、和漢を始め洋学にも通じたディレッタントで引込思案の男であつたが、レシイナに向けられた陰惨な眼を思ひだすと渾身の勇気がわいてきた。それは彼が安穏を欲するからであつたけれども、又、レシイナを熱愛してゐたせゐだつた。あの陰惨な魂の破壊の影が自分とレシイナの平和にまで及ぶだらうと考へると、曾ては最大の敬意を以て迎へた神父であつたけれども、秘密に殺したくなつてきた。気違ひめ。俺は気違ひは嫌ひなのだ。そして天草の人間は、今はもう、一人残らずみんな気違ひにならうとしてゐる。あゝレシイナお前まで、お前はまさか弟の四郎が天人だと思ふ筈はないだらう。