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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

渡辺温『アンドロギュノスの裔』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アンドロギュノスの裔、可哀相な姉、或る母の話、父を失う話、花嫁の訂正、イワンとイワンの兄、恋、勝敗、少女、シルクハット、嘘、象牙の牌、兵隊の死、ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった、遺書に就て、赤い煙突、風船美人、四月馬鹿、十年後の映画界、浪漫趣味者として。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,168 字 · 267 页

青空文庫

その時、若しこれがうまくゆけば、葛飾の愛を取り返せるかも知れない――また万一他殺と露見するようなことがあっても、疑われるのは結局葛飾だとも考えました。

『あの黒いリボンのネクタイのことは偽でございます。私が葛飾の胸からむしりとったのを、そんな風に仕組んだまでに過ぎません……』

葛飾は無実と云うことになって放免された。

8

さて話はこれでおしまいであるが――

作者はここで小野潤平の死が本当の自殺であった場合を考えてみ度い。

小野は酔っぱらって帰って来ると門口で葛飾と出会ったのでめそめそと泣いて詫びた。するとそれが却って葛飾の気を悪くして、殴り倒された。

小野は画室に入ってからもだらしなく泣き続けていたに違いない。

卑屈な禀性や、すたれた才能や、いかさま生活や……いろんな自己嫌悪がむらがって来る。そこで覚束ない酔っぱらいの気持に唆かされて自殺しようかと思う。葛飾の箪笥の抽斗からピストルを出して来ると、悲劇役者のような恰好にそれを顳※(「需+頁」、第3水準1-94-6)にあてがう。はっきりした自殺の意識なぞは要らなかったのだ。

そして、その次にたあいもなく引金をひいてしまう。