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カナリヤとしょうじょ

カナリヤと少女

山川 方夫

「中部日本新聞(夕刊) 第7446号」1963(昭和38)年3月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,534 字 · 5 页

青空文庫

いっしょに、しずかな、日の光も射さない塩からい一つの闇になるんだ。

海は微笑していた。やさしく彼女を待ち、うなずく彼の目のような輝きをうかべながら。

ええ。行くわ。いますぐ。

少女は、頬笑みながら答えた。そうだったわ。私たちは、永遠にいっしょなのね、あのとき、そう約束をかわしたのね。

夜明けだった。少女は海に歩み入った。カナリヤは、忠実に彼女のあとを追った。

翌日になって、人びとは少女の入水に気づいた。少女もカナリヤも、完全に海に消えて、砂の上に、まっすぐな一人の足跡だけがあった。

幾日かが過ぎたが、二つの死体はどこにもみつけられなかった。

だが、若者は無事に港に帰ってきた。彼は、外国船に救けられていたのだ。

少女の死は、彼をいくらか悲しい気持ちにはしたが、彼にとり、それはそれ以上のものではなかった。季節も、すでに秋であった。

祝宴の酒に酔って、若者は浜辺に出た。ぶらぶらと波打際を歩くうちに、彼は、ふと枯れた黄菊に似たなにかが打ち揚げられているのを見た。それは、カナリヤの死骸だった。

思わず若者は走り寄った。と、死んだカナリヤが、まるで生きているもののように動いた。