轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
カフェー
カフェー
勝本 清一郎
「共同通信社配信 第32〜33回」共同通信社、1964(昭和39)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,355 字 · 7 页
それは実際の名で、鴎外はここの常連の芸術家仲間のうちに日本人画家原田直次郎を見出したのである。ほかにカッフエ・ロリアンなどという名も出てくる。
鴎外はミネルワの仲間という語を使ったが、十九世紀末から二十世紀はじめにかけては各種の芸術運動がパリやミュンヘンやベルリンで、カフェーでの集まりから出発した例が多い。
いまルーブルにあるルノアールのけんらんたる大作「ムーラン・ド・ギャレット」も、野天のダンス場の景だがカフェーの延長線だ。プッチーニ作曲の歌劇「ラ・ボエーム」第二幕のパリのカフェーのテラスの場も有名で、音楽も情景もかれんで写実的に美しい。
この歌劇が大正年間日本で初演されたときに、人もあろうに大田黒元雄が雪の降っている晩に戸外でストーブをたきコーヒーを飲んでいる光景は、歌劇の荒唐無稽さだが、と解説したことがある。荒唐無稽どころかパリへいってみればそれが写実なのであって、大正年間になっても、いかに日本でパリのカフェーの実際が知られていなかったかを示す例である。
明治末期から大正初期にかけて若き日の木下杢太郎、吉井勇、北原白秋、高村光太郎、木村荘八、長田秀雄、谷崎潤一郎たちパンの会の連中が、会場にカフェーらしい家を捜すのにどんなに難儀したか。