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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
「私、覚悟丈けはいつでもしていますわ」
「流石におれの女房だよ」
「実は内証で月掛貯金に入っていますの。早晩斯ういうことがあるだろうと思いまして」
「有難い」
「半年ぐらいは平気の積りですが、この頃は失業者が多くて、ナカ/\口がないんですってね」
「何あに、何うにかなるさ。おれは失業しても直ぐにある。然う/\、三好さんへ御無沙汰していた」
と私も三好先生を思い出す時はいつも形勢が悪い。
間もなく松本さんから電話がかゝって来た。
「何うだい?」
と気の所為か力のない声だった。
「有難う。覚悟を極めている」
「此方はカン/\だよ」
「え?」
「カン/\。家内がカン/\だ」
「御道理だよ」
「馬鹿なことをしたね、考えて見ると、実際」
「今更仕方がない」
「今、中島さんへ電話をかけたんだよ」
「何んな具合だったい?」
「ガラマサどんもカン/\。赤石さんもカン/\。しかしね」
「うむ」
「今晩上るからって、足止め丈けはして置いたそうだ」
「赤石さんかい?」
「うむ。それから七時に中島さんのところへ行く筈だったが、あやまるには早い方が宜いそうだから、六時ってことにしよう」
「よし/\。しかし六時に中島さんが帰っているか知ら?」