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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
「キング」1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页
と赤石さんが言った。
「はゝあ」
と松本君と私は異口同音だった。
「俺が仲人さ」
「はゝあ」
「貰わないと断言していたから具合が悪いと見えて、極く内々にという註文だ。そこで作病を構えて、物が二つに見えると言った日の晩に形ばかりの式を挙げて、目下塩原へ新婚旅行中さ」
「驚きましたなあ!」
「これは一杯食わされました」
と私も呆れ返った。
「しかし表面は絶対安静ということになっているから、未だ誰も知らない」
「兎に角お芽出度うございました」
「結構さ。それに社長の方で見初めたんだから、恋女房だ」
「へゝえ」
「この辺は自叙伝に特筆大書してやるんだね」
「筆誅してやります」
「花嫁は某伯爵のお嬢さんだ。妾腹だけれど、立派な身分さ」
「お幾つですか?」
「三十一だそうだ」
「はゝあ。社長は六十七ですから、三十六違いますな」
「三まわりか? ハッハヽヽ」
「若い茶飲み友達ですな」
「矢っ張り豪い人は違う」
と赤石さんも感心していた。
「僕も今度は社長にひどく引っかゝった」
と末次さんが言った。
「何だい?」
「探幽の菊寿童だ」
「あれを取られるのか?」
「一身上の祝いごとがあったら贈れと言うから、七十七の賀だろうと思って、何あに、それまで持つまいと高を括っていたら、今度の事件さ」