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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

「家でかい?」

「うむ」

「もう一頁欲しかったな。松本君昇進の事と書いてあったかも知れない」

「惜しいことをしたよ。川崎さんと戸張さんの後釜が分る筈だったけれど」

「常務が二人も引くとなると、それからそれへ大異動が来る」

「兎に角、虎の巻だろう?」

と私は得意だった。

「大将、結婚する積りだね」

「見かけによらないものさ。僕はこれに一番驚いたんだよ」

「茶飲み友達ゆえ四十台にてよし。何だい? ヘッヘヽヽ」

「ハッハヽヽ」

と私達は一々個条書を研究し始めた。

「劈頭第一に書いているから、これは何を措いても実行するぜ」

「あんな爺さんのところへ来る女があるだろうか?」

「それはあるさ」

「元治元年だぜ」

「四十台なら二十幾つしか違わない」

「そんなに違っちゃ素人じゃ来まい」

「何あに、未亡人ってものがある。何なら僕が世話をしても宜い」

「心当りがあるかい?」

「ないけれど探すさ」

「アベコベだね。秘書が社長の仲人をするなんて」

「及ぶ限り血圧を下げること」

「これだよ」

「うむ。斯うと知ったら考えがあったのに」

と松本さんは思い当った。

「然うだろう? 血圧の話を始めたら、手のものを置いて傾聴しないと忽ち御機嫌が悪くなる。