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『キング』でとくをするのはだれか
『キング』で得をするのは誰か
宮本 百合子
「文学新聞」日本プロレタリア作家同盟機関紙、1933(昭和8)年2月1日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,567 字 · 4 页
サークル活動をするものの心得として、よく云われる言葉がある。それは、サークルというものは『キング』の読者をもひっくるめての文化的政治的組織でなければならないという言葉である。
現在『キング』がそれほどひろく大衆の間によまれる魅力は一体どこにあるのであろうか。そう思って『キング』二月号を五十銭出して買った。五百十五頁の『キング』一冊に五枚一組袋入りの額面用名画というブルジョア画家の画の複製が景品について来た。
成程、この画は壁の破れたところに貼っても一寸体裁がよかろう。壁が破れても修繕はしてくれず、家賃ばかり矢の催促にくる大家に対して、借家人同盟の長屋委員会をつくろう等という考えは起さず、壁の穴へは、色紙一枚に雀一羽描いて何百円とかとる竹内栖鳳などというブル絵描きのあやしげな複製でもおとなしくはりつけて、気をまぎらして居れということらしい。
頁をめくると、真先に出て来るのは「お祖父さんのお医者様」という題で、暖かそうな机の前で白髪の爺さんが、赤い帽子の孫娘がさし出す人形をおどけた呑気な顔で診察する真似をしてやってる絵だ。二三枚同じように罪なさそうな犬っころだの小鳥だのの色刷絵がある。