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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

「学芸」1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 页

青空文庫

ここに文化の観念が有つ意義が著しく高められたことは、人の知る通りである。日本の現在に於ける文化の諸観念が特有の形で錯雑しているという特色については、今論じる機会ではない。ただ文化の意識(単なる文化の所有ではなくて文化の意識の所有、つまり文化の観念の高水準な自覚のことだ)、が人々にとって重大な問題をなしており、現代の極めてクリティカルな課題を形づくっているということを注意すれば足りる。前にも述べた通り、文化の単なる向上という言葉はすでに多義性を孕むに至っている。文化は単に向上するばかりでなく、進歩しなければならないと云われている。「進歩的」な向上でなくてはいけないということになる。文化の意識そのものがただの文化から抜け出して、それ自身で新しい文化尺度を産み出した結果、観念のこういう複雑さを生じて来たわけだ。

処で、ただの諸文化自身から抜け出して或る独特な新しい文化的尺度を規正するこの「文化の意識」は、もはや個々の諸文化の夫々の付属物ではなく、そういうものから発達し結実した夫々の或る代表者的エッセンスが集結し独立化し単位化したものとして、或る独立な秩序界を構成する。