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クリティシズムとにんしきろんとのかんけい

クリティシズムと認識論との関係

戸坂 潤

「学芸」1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,091 字 · 50 页

青空文庫

であるというリアリズムの伝統的見解を仮定するとしよう。但しここでリアリズムというのは、ただの手法の名ではなく、芸術的認識の認識論上の一見解を指すのだが、芸術をも世界の認識と見ること、認識(又認識論)という観念をばそういう形にまで拡充することは、認識論に対しても芸術理論乃至一般に文化理論上に対しても、現段階に於ける吾々の期待であり、哲学の新段階を画する規模のものと考えられるべきだろう。それであるのに、この点必ずしも人々によって充分考え抜かれているとは見られない。わずかに二三の新しい文芸学や美術論に於てこの提唱を見ることが出来るにすぎない*。

* 武田武志著『美術論』は初めからこういう企図に基いている。ただその美術的乃至芸術的認識の機構分析が充分でないために、リアリズムと写実との原則的区別を読者に首肯させるに充分でない。甘粕石介氏の論文「芸術の写実について」(『学芸』一九三八年第七一号)はこの弱点を指摘して若干の優れた発見を与えている。だが芸術の表現するものが、結局「生命」に帰するという落ちは、実は何等の解決ではなく、常識への還元である。芸術の認識論はかかる「生命」