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ジャーナリズムのこうろ

ジャーナリズムの航路

宮本 百合子

「日本読書新聞」1949(昭和24)年10月26日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,842 字 · 6 页

青空文庫

新聞週間がはじまって、しばらくしたら「新聞のゆくところ自由あり」という標語があらわれた。これには英語で Where news paper goes, there is freedom. と書き添えられていた。新聞のゆくところ自由あり――幾里も彼方に浮んだ山の輪廓のように何となし心をひかれるようだが、実はつかみどころのない言葉。――自由がある。これさえめずらしいのに、その自由が、新聞のゆくところにあるとすれば、大新聞は幾百万と印刷され、朝ごとに日本全地方に配達されている。

日本のいたるところにそれほど自由があって、自由な人々の戸口の前に自由な新聞がくばられてでもいるような思いちがいをおこさせる。購読者がこんにちの新聞からうけている感情の一面をあるとおりに云いあらわせば、新聞のゆくところ自由があるという言葉は、どこやら大新聞まかり通る、というようにもきこえる。その新聞が官報であろうと、植民地版であろうと、中傷的なにせ写真をのせていようと、大新聞のゆくところ自由あり、と。すさまじいようだと云えないこともない。

小新聞の、大新聞への独占吸集が成功してから、大新聞の質は低下した。