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ジロリのおんな
ジロリの女
前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页
そのうちに、もはや一つの解決しか有り得ないと自分の心が分ったので、私は降りてきて、両手をついて、あやまった。
「心を入れ換えます。いゝえ、心を入れ換えました。今後はたゞもう、誠心誠意、犬馬の労をつくして、君の馬前に討死します。毛頭、異心をいだきません」
君前に討死します、と言ったので、一緒にいた若い妓が腹をかゝえて笑いころげてしまった。そして、さすがの金龍もクスンと苦笑いして、私は虎口を脱することができたのである。
金龍は意地の悪い女であった。そんな風に腹をたてると、たゞはキゲンを直してくれず、もう冬近いころだというのに風呂桶にマンマンと冷水をみたして、私にはいれ、というのであった。そして私がふるえながら蒼ざめて水にはいるのを、ジット見つめていて、面白くもなさそうに振向いて立去るのだ。
私は要領を心得ていた。そういう時には、できるだけバカバカしくふるまって、笑わせるに限る。だから、冷水風呂にはいれ、という。ハイ、かしこまりました、どうせハダカのついでだから、今日は縁の下の大掃除を致しましょうと云って、いきなり、下帯ひとつに箒をかついで縁の下へもぐりこみ、右に左に隈なく掃き清めてスヽだらけ黒坊主、それより冷水風呂へはいる。