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スポーツ・ぶんがく・せいじ

スポーツ・文学・政治

坂口 安吾

「近代文学 第四巻第一一号」1949(昭和24)年11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,635 字 · 14 页

青空文庫

フォームの点から云えば南部忠平のほうがフォームがきれいだ。然しそれだけにオーエンスのはうが尖鋭だね。南部はフォームが完成していて、女性的だ。その点古橋は野性的で未完成のスゴミがある。

いつかチルデンが来たね。あのときはもう歳も歳で弱くなっていたが、技巧的には完成されたものだった。だけどチルデンももともとスピード選手だったんだ。日本のデヴィスカップ選手だって、佐藤次郎のような一流はスピード選手だ。藤倉なんか技巧派だから、一流になれない。しかしオーエンスなどは決して技巧的に完成しない人間だね。技巧を完成するためには、スピードを殺さねばならぬ。

ボクもスピード論で、持続論はきらいだ。スピードのあるのが持続するというのがスポーツの本義だ。そうなると、今度は選手の寿命が問題だがね。大体スピード選手は不健康だし、短命だ。一種の犠牲者だね。しかし一国の文化が興るのにはどうしてもこういう犠牲者が必要なんだ。

ボクの小説も、いわばスピード小説というやつなんで、百米の選手みたいにふっとばし、まあ、後は野となれ山となれだよ。だが僕は作品を書く上で、本競馬に出たときと草競馬のそれとは、はっきり区別をつけている。