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ソヴェト・ロシアのすがお

ソヴェト・ロシアの素顔

宮本 百合子

「アサヒグラフ」1931(昭和6)年1月1日、7日、14日、21日、28日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,066 字 · 36 页

青空文庫

これは自分が喋って速記をとったものです。自分で書く時間がなかった。話しかたが下手だから、大してうまく行っていないかもしれないが、一九一七年の革命以来、種々なデマゴーグによって歪め伝えられているソヴェト・ロシアの日常について、実際的な或る訂正としては役に立つと思う。

ロシアに入って真っ先に印象されたのは第一万事が珍しいということ。それに革命前及後のロシアというものは、文学で幾分知っていたし、自分に縁のないところへ来たとは思わなかった。丁度モスクワに着いた晩は雪が降っていた。橇の上から見ると、雪がドンドン降っているし、夜だし、非常にはっきりした所謂ロシア文学的印象が多かった。

ロシアの家庭の問題については、資本主義的私有財産制を基礎とした家庭というものは勿論崩壊している。併し独立した社会人としての家庭の各員が共同の連帯責任を以て、社会人としての義務をお互に果して行く家庭は勿論鞏固に発達している。が、普通の概念に於ける家庭というものはない。つまり我々が眼にしている普通の家庭というものは、家長はおやじ。それでおやじが家族のお母さんや子供の世話を見る。おやじが一旦死んで、財産がなかったら親類の世話になる。