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ソヴェトろうどうしゃのかいほうされたせいかつ
ソヴェト労働者の解放された生活
宮本 百合子
「文学新聞」1931(昭和6)年11月10日特別記念号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,524 字 · 7 页
家主がいない
ソヴェト同盟には地主がない、従って家主という小面倒な奴もいない。住居は殆どみんな国家のものだ。モスクワならモスクワ市の住宅管理局というものがあってそこから組合で、または個人で家を借りるのだ。
ところが一つ大いに愉快なことがある。それはさすがはプロレタリアートと農民のソヴェト同盟だ。家賃は借りる人が一ヵ月にとる月給に応じてきめられる。日本人なんぞは、例えば家主の権田の親爺が月十八円ときめてみろ、その家賃は一文だって動かしゃしない。払えないものは借りるナ! それっきりだ。
ソヴェト同盟では、モスクワ市について云うと九尺四方で四十カペイキ(四十銭に相当する)。それが基準だ。
一つの室でも、だから住む人間によって値段がちがって来る。月給六十ルーブリ(一ルーブリは一円)とる工場労働者が十ルーブリで借りていた室を、仮りに今度は百五十ルーブリとる労働者がかりることになったとする。室代は月給が九十ルーブリ増した率で何割か増して高く払うというわけなんだ。
痛快なのは、ソヴェト同盟の生産拡張五ヵ年計画がはじまるまで、狡いことして儲けていた小成金や商人が、三十ルーブリの室なら九十ルーブリという風に、いつもキット三倍の税をかけられていたことだ。