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ソヴェトぶんだんのげんじょう

ソヴェト文壇の現状

宮本 百合子

「綜合プロレタリア芸術講座 第一巻」内外社、1931(昭和6)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,896 字 · 58 页

青空文庫

それはよろしい。「ラップ」内で問題になったのは、その活きた社会的主題を、ベズィメンスキーがどう解釈したかというところにあった。

ベズィメンスキーは、工場内のウダールニクと妨害分子とを、単純に赤色の善玉悪玉式に対立させた。階級的悪玉は、はじめっから終りまで悪玉。善玉の方はと云えば、どんな小さい誤謬も犯すことのない綱領的な存在として、「射撃」の中に描写されているのだ。「ラップ」はその点に現れているベズィメンスキーの非現実的な機械的党派性を指摘した。

職場のウダールニクが、妨害分子の中に必ずまじっているに違いない中間的なフラフラ分子の中を、出来るだけ建設戦線へ引きこんで、捏ね直そうと努力してない「射撃」の描写は、非現実的だ。党はウダールニクに、そんなセクトの戦術は指令していない。また、この戯曲の中で集団としての反革命的な労働者たちが、終始一貫、気のそろった獣たちで、社会情勢の推移によって当然起る矛盾や動揺、分裂をちっとも示していない。これも、社会生活の実際とは違う。――

こういうベズィメンスキーの機械的マルクシズムを、リベディンスキーは、「ラップ」の中でも、盛に批判した。