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ちっぽけなおの

チッポケな斧

坂口 安吾

「新潮 第四八巻第八号」1951(昭和26)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,233 字 · 21 页

青空文庫

宗教的に統一された原始国にはツムジマガリは生きられない。めいめい存分にその個性を発揚して生きられる国でなければ文明国とは云えないのである。

松本氏のツムジマガリが特に天皇に対するものであるために許容されないとすれば、再建日本の危険がそこに暗示されているのは一目リョウゼンではないか。

特に松本氏は特殊部落出身の人だ。奇妙な階級観念で長いこと不当に虐げられてきた人々の中から松本氏のような代表者が現れて、転換期の国政の枢機に当るというのは賀すべきことであった。その彼がいきなりカニの横バイを拒否したことは、当然なところもあるし、大人げないところもあるし、エゲツないところもあるし、同情すべきところもある。すべてそれらをひッくるめてユーモラスでもある。そして健全でもある。カニの横バイを拒否したことが真理にかなうものではなくて、やや感情的であるにしても、真理に近づく道は一応それの存在を許容してケンケンガクガクすることによって始まるもので、それによって追放の解除が延期されるというようなことは日本が再び真理を失う前提にほかならない。

なんでもハイハイと習慣にしたがう人間よりも、それを拒否するツムジマガリの方に、大切な要素が含まれていることは当然ではありませんか。