轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
トコヨゴヨミ
トコヨゴヨミ
田山 花袋
「早稲田文学」1914(大正3)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,449 字 · 38 页
何処でも店の隅の方に形式だけに置いてあった。「其処にあるから、見て行って下さい。」などと言った。「売れませんな矢張、ゆっくり広告でもしなけりゃ、いくら好いものだって売れやしませんよ。」ある店ではこんなことを言われた。勇吉は都会の塵埃にまみれて暗い顔をして帰って来た。
荒蕪地で、薬売をやっていた時の方が何んなに好いか知れなかったなどと勇吉は思った。そこには広々した天然があった。其処に住んでいる人も、都会に住んでいるような忙しい冷淡な人間ではなかった。
歩いている路にも、餓を刺戟する蕎麦屋、天ぷら屋などもなければ、性慾を刺戟する綺麗なぴらしゃらする女もなかった。勇吉は計画が全く徒労になったような気がしてがっかりした。
刑事も其後度々やって来たという妻の話であった。何うかすると、夜などこっそり様子を見に来るものもあるらしく勇吉には思われた。職業の方もさがす気が出なくなって了った。Socialist という嫌疑がかかっているということが知れては何処でもつかって呉れる処はありそうに思われなかった。望みをかけて来た小学校教員の方は殊にそうであった。教員になろうとするには、黙って隠して置いたところで、本籍から屹度通牒して来るに違いなかった。